医療設備のご紹介

DA VINCE ダヴィンチ
DA VINCE ダヴィンチ

ロボット支援手術は
体への負担が少なく、
精密で精度が高い手術です。

ダヴィンチ使用写真

手術はがん治療の基本ですが、患者さんの体に大きな負担をかけることから、できるだけその負担を減らしながら手術制度を高めることが目標となっています。患者さんへの負担を減らす方法として、体を大きく切り開かずに済む腹腔鏡手術や内視鏡手術が開発されましたが、これらは一定の経験と技術を必要とし、通常の開腹手術よりも難易度が高いという課題もあります。
ロボット支援手術のカメラとアームは、数センチ程度の小さい切開部分から体に挿入できるため、出血など患者さんの体への負担が少ない利点があります。
また、ロボット支援手術は体への負担が少なく、精密で精度が高い手術です。

患者さんのメリット

出血量が少ない

術後の回復が早い

術後の尿失禁や
勃起不全を軽減

特 長

  • 体への負担が少ない

    数カ所の小さな切開部から手術を行うため、傷が小さく、出血も抑えられ、手術後の回復が早く、患者さんの負担が軽減されます。

    ダヴィンチでの切開イメージ
  • 3Dハイビジョンシステムの手術画像

    鮮明な3D(3次元)画像

    コンソールモニターには高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像が映し出されます。

  • 精密な動きを再現

    医師がロボットアームに装着されている鉗子やメスを操作します。
    ダヴィンチの鉗子はリスト構造を持ち、人間の手より大きな可動域と手ぶれ補正機能を備えています。

    ダヴィンチのロボットアーム
  • 外科手術での使用実績

    ロボット支援手術の実績

    ダヴィンチは今日までに世界中で約300万件(2016年1月現在)のさまざまな外科手術で使用されてきました。

症状、ダヴィンチで行う手術


  • 泌尿器科

    • 前立腺摘出術
    • 腎部分摘出術
    • 膀胱腫瘍摘出術

  • 消化器外科

    • 直腸切除術
    • 胃切除術

受診の流れ


  • 泌尿器科外来、消化器外科外来への受診


  • 地域の医療機関からの紹介

保険適応について

当院では現在、前立腺摘出術、腎部分摘出術、膀胱腫瘍摘出術、直腸切除・切断術を保険適応で行っています。これらの手術では、先進的な医療であるにも関わらず医療費の負担は従来の手術とあまり変わりません。さらに、高額療養費制度を利用することで負担を少なくすることが可能です。

機器紹介

  • ダヴィンチの使用イメージ
  • ダヴィンチは、低侵襲技術を用いて複雑な手術を可能とするために開発されました。
    高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像の下、人間の手の動きを正確に再現する装置です。
    術者は鮮明な画像を見ながら、人の手首よりはるかに大きく曲がって回転する手首を備えた器具(鉗子)を使用し、精緻な手術を行うことができます。
    ロボット支援手術は完全に医師の操作によって実施されます。

ダヴィンチのロボットアーム

ダヴィンチは医師の手の動きを、より細かく精密な動きに変換します。

ダヴィンチはサージョンコンソール、
ペイシェントカート、ビジョンカートの
3つの機器によって構成されています。

  • ダヴィンチの操縦席サージョンコンソール

    ①サージョンコンソール

    「サージョンコンソール」とよばれる操縦席に座り、3D画像を見ながら手元のコントローラーを操作します。

  • アームの付いたペイシェントカート

    ②ペイシェントカート

    「ペイシェントカート」の4本のロボットアームにその動きが伝わります。

  • アームの手元の映像をモニターできるビジョンカート

    ③ビジョンカート

    「ビジョンカート」のモニターに手術中の画像が映し出され、手術スタッフも同じ画像が共有されます。

手術担当医からのメッセージ

泌尿器科医長 澤田陽平の画像

ダヴィンチによる前立腺がん摘出手術の場合、傷は全部で6カ所となりますが、1つ1つの傷は1~2cmととても小さく開腹手術と比べ術後の痛みが少なく回復が早いのが特長です。また通常の腹腔鏡手術のカメラでは2D(平面画像)ですが、ダヴィンチの場合は遠近感を伴う3D(3次元立体画像)であること、さらに10倍の拡大視野を得ることが可能であり、狭い骨盤の中でも鮮明に臓器や周囲構造を把握することができます。そしてロボットの操作アーム(鉗子)は非常に繊細な動きが可能で、術者の動きを忠実に遂行できること、狭い空間での可動域が極めて広いためより確実な手術操作が可能となります。そのため術中出血量は開腹手術と比べ格段に少なく、尿道膀胱吻合といった難易度が高い手技も容易に行うことができます。

さらに、このダヴィンチの特長である3Dでの10倍拡大視野、ロボット操作アームの繊細な鉗子の動きが可能な事により、前立腺がん手術の特有の後遺症である尿失禁から回復が早期に期待できる事が報告されています。がん制御・コントロールする事が一番重要だとは思いますが、術後の排尿状態をより早期に回復させ手術前の日常に近づけるといった機能面にも大きな効果が期待できます。がん制御と機能温存をかなり高いクオリティーで行えるのがダヴィンチです。

ロボット手術の利点について述べてきましたが、手術の大原則は当たり前ですが安全かつ確実に手術を完遂することです。これまで培った知識・技術を総動員し埼玉北部でダヴィンチ手術を円滑に行い、手術を受けた患者さんから行田総合病院で手術を受けて良かったと感じていただけるように取り組んでいきたいと思います。

泌尿器科副部長 澤田陽平

実際のダヴィンチ使用写真

最新手術から標準手術へ

 手術医療の世界において手術機器の開発は日進月歩であり、そのなかでも革新的といえる機器が手術支援ロボットです。現在世界で最も普及している手術支援ロボットがダヴィンチサージカルシステム、通称『ダヴィンチ』です。医療を提供するうえで重要なことは医療の質の向上です。それにより患者さんの満足度が高くなり、地域医療を担う病院として信頼度も高くなります。外科領域では手術の質の向上が求められます。「より安全に、より確実に」そういった質の高い手術を可能にしてくれるのがこのダヴィンチです。当院にはそのダヴィンチがあり、泌尿器科医、麻酔科医、手術室看護師、臨床工学技士がチーム一丸となってロボット手術を行っています。

 ダヴィンチは、手術のなかでも腹腔鏡手術や胸腔鏡手術などの内視鏡下手術を支援してくれるロボットです。ただし、ロボットがひとりでに動いて自動的に手術が行われるわけではありません。術者がロボットを操作することで手術が可能になります。

 ダヴィンチの利点は以下の通りです。体内を専用の内視鏡で見るとその画像が術者にとって奥行きのある三次元映像でかつ10倍もの拡大像が得られる点、ロボットの腕の先端部分がくねくねと自由に曲げられる点、そして手ブレ防止機能がある点などがあげられます。それによって従来の内視鏡下手術における技術的難点が克服され、術者が思い描くイメージどおりの手術が可能となります。とくに狭い空間で細い神経や血管を温存したり、縫い合わせたりといった細かな手技が要求される場面では人間の手で行うよりも速く正確に安全に遂行できます。

 ロボット支援手術は今や泌尿器科領域に限らず、外科や婦人科領域でも保険適用が広がり活用され、最新手術から標準手術になりつつあります。

実際のダヴィンチ使用写真
泌尿器科副部長 高島 博の画像

●前立腺がんに対するロボット支援手術

 前立腺がんが見つかり転移していない場合に、根治目的で前立腺を摘出することをロボットを駆使して行う手術です。それだけでなく膀胱と尿道を吻合する尿路再建という作業があります。手術で求められることは前立腺がんの根治だけでなく術後重度の尿もれをおこさないこと、さらに希望があれば勃起機能を維持できるようにすることです。すべてが達成されれば大成功と言えます。以前は前立腺摘出といえば下腹部を大きく切開して行う開腹手術が一般的でした。前立腺は骨盤内の最深部に位置し周囲には血管が豊富であるため、開腹手術では大出血や直腸損傷の問題、また、尿道や神経を温存しにくいことから排尿機能や性機能が損なわれやすいなどの問題がありました。とくに肥満患者や骨盤が狭い患者の開腹手術はそれらの問題がおこりやすく術者にとってもストレスが大きいものでした。ロボット支援手術では小さな1cm、2cm程度の孔を6箇所あけるだけで手術が可能であり、開腹手術では術者の目が行き届かないようなところ(前立腺の裏側)まで拡大して見えること、そしてロボットアームが1mm単位の細かさで術者の意図する動きを反映してくれることからおのずと精度の高い手技が可能となります。とくに肥満や骨盤が狭いなどの開腹手術にとっての悪条件があるケースではロボット支援手術のほうが成功しやすいことを実感しています。

 当科では2017年5月からロボット支援前立腺全摘除術を導入し、2020年5月まで282件行っています。幸い大量出血をきたし輸血が必要になったケースや直腸損傷をきたしたケースはありません。術後の尿もれも個人差はありますがほとんどの患者さんがほぼ半年から1年以内に改善し、尿もれがあっても一日一枚尿パッドを必要とする程度で済んでいます。以前の開腹手術ではがんは治ったけれども術後1年経っても重度の尿もれが続くという患者さんがたまにいらっしゃいました。

 ロボット支援手術開始当初は大腸・直腸がんなど下腹部開腹手術を行っていた患者さんにはロボット支援手術は適応外と判断し開腹手術にするか手術以外の治療を行っていました。しかし、そういった患者さんであってもロボット支援手術を希望されることが少なくなく、最近では小切開による開腹手術でロボット手術可能な状況を作成し手術の核心である前立腺摘除と膀胱尿道吻合はロボット支援下に行うというハイブリッド手術を行っています。多少時間はかかりますが開腹手術だけでは目や手が届きにくい骨盤内の深いところで確実性の高い手術が可能となり術後経過も良く、満足度の高い結果が得られています。

●腎臓がんに対するロボット支援手術

 腎臓がんの標準治療は、がんの広がりに関係なく手術によるがんの摘出です。腎臓がんは放射線治療や抗がん剤は有効ではないからです。7cmを超えるような大きながんでは、根治のためにはがんを含め腎臓を全部摘出する手術(腎摘術)が最も確実で有効です。一方、転移していない比較的小さいがん(とくに4cm以下)では、がんの部分だけを切除する手術(腎部分切除術)でも腎摘術でもがんが治る確率がかわらないという研究が報告され、小さな状態でみつかった腎臓がんに対してはまずは腎部分切除術を試みる方針となりました(がんの位置や大きさによって困難なケースもあります)。がんのみの切除が難しくなければ、正常組織を残すことでなるべく腎機能を損わないように、将来の腎不全、透析のリスクを減らすことを目指します。特にもともと腎機能が悪い場合はなるべく腎部分切除術でがんを治すことを試みます。ただし、腎部分切除術は腎摘術に比べると技術的な難度は高くなります。確実な腫瘍切除とその後の修復という作業を高精度で行わないとがんを根治できないだけでなく合併症(後出血や腎外への尿漏)が生じ、経過によっては腎摘除術を追加しないといけない事態になるからです。

 腎部分切除術は以前は開腹手術で行っていました。小さな腎臓がんを切除するために、脇腹に大きな切開(15~20 cm)が必要でした。筋肉がたくさん切断されるがゆえ術後の痛みも相当なものとなります。出血も少なくなく、輸血が必要になることもあり侵襲が大きい手術でした。その腎部分切除術が1cm、2cm程度の孔を5、6箇所あけて行うロボット支援手術で可能となり2016年から保険適用されました。ダヴィンチの利点を活かして確実な腫瘍切除や血管や尿路の修復作業が可能となり、合併症もおこりにくくなっています。体に対する負担が少ない手術であるがゆえ早期の回復、社会復帰が可能になります。

 当科では前立腺のロボット支援手術に続いて2017年12月から導入し2020年5月まで21名の患者さんに行っています。前立腺がんと比べ腎臓がんの頻度は少なく「小さな」がんに限られる手術方法であるため、手術件数は年間5~10件ほどですが、同手術を受けた患者さんはすべて大きな合併症もなく無事退院されています。術後経過観察の期間はまだ3年未満と短いですが、腎臓がんが再発したり、腎機能が悪化し透析に移行したケースは認めていません。当科でのロボット支援手術での治療成績(がんが根治できる・重篤な合併症がない・腎機能が温存できる)は他施設と比べても遜色はなく、最先端の手術を当科で提供できると考えています。腎部分切除術がいいか腎摘術がいいか迷うケースは、泌尿器科スタッフ全員で検討したうえで患者さんとも十分相談して最終決定しています。他院でセカンドオピニオンを受けていただいたうえで当科で行ったケースもあります。

●膀胱がんに対するロボット支援手術

 膀胱がんが膀胱の壁に深く進展したり広範に広がり尿道からの内視鏡的切除では切除しきれない場合に、ほかに転移がみあたらない時に限り、根治目的で膀胱全摘術が標準治療となります。膀胱は骨盤内臓器であり開腹手術では前立腺がんの手術と同様、大出血や直腸損傷の問題がありました。前立腺がんのロボット支援手術の有効性が示され、近年膀胱がん手術にもロボット支援手術が保険適応されるようになったのは必然といっても過言ではありません。

 手術の工程は前立腺がん手術に似たところが多いため膀胱を摘出する過程で難しい手技が要求されることはありません。膀胱摘出後は尿路を再建する必要がありますが、ロボット支援手術でどこまで尿路再建を行うか、まだ標準化されているわけではありません。効率的かつ確実で合併症の少ない方法が模索されています。

 当科では2018年12月から膀胱がんに対するロボット支援手術を導入し2020年5月まで11名の方が受けています。膀胱摘出後の尿路変更術(回腸導管造設術や尿管皮膚ろう造設術)は通常の開腹手術で行っていますが、細かな縫合が必要となる工程のみロボットを活用したハイブリッド手術を行う場合もあります。現時点ではハイブリッド手術で問題となる合併症は認めず経過も良好な結果となっています。尿路変更を含めたすべての工程を開腹せずに体内でロボット支援下に行うことについては、その効率性、有用性についてまだ議論されている段階であり標準化しているわけではありません。今後の他施設の報告や研究結果をもとに当科で導入するかどうか検討していきたいと考えています。

●さいごに

 現在の手術支援ロボット、『ダヴィンチ』の欠点の一つは、人間の手で感じられる触覚が感じられないことです。しかし、それも術者のトレーニングによりバーチャルな触覚が生まれるといわれています。近い将来、触覚も感じられるロボットが登場すればさらに安全性の高い手術が可能となるでしょう。手術支援ロボットがさらに進化するとともに、今話題のAI(人工知能)やAR(拡張現実)などを活用したロボット支援手術が主流になる日もそう遠くないかもしれません。

 そんな日が来たとしてもあくまでロボット支援であり、個体差の大きい人間の体を扱う以上、術者である我々が主導で決断し実行していく状況はまだまだ変わらないようにも思います。手術の質をより高めるためロボットという便利なツールを最大限活かせるよう我々の修練は欠かせないと思っています。

泌尿器科部長 高島 博

実 績

2023年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計
前立腺がん 2 13 9 12 11 8 11 7 5 6 7 7 98
腎がん   1       1   1 1     2 6
膀胱がん   1 2         1 1 1 1   11
直腸がん         2 4   2   1 2   11
胃がん                         0
尿管がん       1       1   1 1   4
結腸がん 5 1 4 3 1 2 3 3 8 4     34
 

動 画

ダヴィンチ・腎がん編


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