地域医療支援病院とは、1997年の医療法改正で制度化された、地域医療の中核的な役割を担う病院です。
外来診療よりも入院治療に重点を置き、地域の中小病院や診療所からの紹介患者を受け入れるのが地域医療支援病院です。また、二次救急医療を担うとともに、高額な医療機器を地域の他の医療機関の共同利用のために提供し、地域の医療従事者に対して、その知識や技術の向上のための生涯教育などの研修を実施することなども求められています。
厚生労働省や都道府県は、もともと地域医療支援病院は公的病院・公立病院が担う機能と考えていました。しかしながら、外来患者の抑制や高額医療機器の共同利用を推進することができる病院は限られています。全国に350余箇所を承認しようとした当初の計画は、現時点では3分の1程度しか達成されておらず、その整備は必ずしも順調とはいえません。
こうしたなか、社会医療法人壮幸会行田総合病院では、地域の病院・診療所との連携を強化するとともに、救急医療体制を整え、高額医療機器や検査施設などの充実を図ることによって、地域医療支援病院の承認を受けました。大学病院や県立病院、赤十字病院・済生会病院などの公的病院などとならんで、埼玉県北部の地域医療を後方支援する病院としての使命を果たすために、努力を続けています。
社会医療法人壮幸会行田総合病院は、前記の地域医療支援病院の承認要件を満たす施設設備を有し、入院や手術など専門的な医療を必要とする患者さんを積極的に受け入れ、救急医療の提供や高額医療機器の共同利用、地域の医療従事者のための研修会の開催など、地域医療の後方支援に取り組んでいます。また、事務部門内に「地域医療連携室」を置き、専従スタッフを中心に地域の医療機関との日常的な情報交換活動を活発に行っています。
医療機器の共同利用では、コンピュータ断層撮影装置(CT)・核磁気共鳴画像装置(MRI)・血管造影装置(アンギオ)などの高額医療機器を中心に、数十施設にのぼる地域の病院や診療所から、毎月30~50件、年間400~500件の撮影依頼を受けています。これまでに利用があった病院・診療所の診療科は、内科・整形外科・脳神経外科をはじめ、産婦人科、眼科、歯科と多岐にわたっています。まさに、医療機器を地域の共有財産とする試みを実践しています。
また、地域の医療従事者を対象とする研修としては、とくに地域の医療機関の関心が高いことから、「リウマチ疾患」と「疼痛疾患」について定期的な研修会を開催しています。いずれも、当院の常勤医師が講師を務め、毎回、地域の病院・診療所から多数の医師などが参加して熱心な議論を繰り広げています。
このほか、日常的な紹介・逆紹介や休日・夜間の救急対応はもちろんのこと、地域の診療所などからの依頼により当該診療所の患者さんに対する栄養指導を実施するなど、さまざまな医療連携活動も行っています。
これからも病院各部門をあげて地域医療への貢献に取り組んでいきたいと考えています。