薬剤課は、現在、常勤薬剤師19名、非常勤薬剤師1名、調剤補助者2名の合計22名が配属されています。1日の処方箋枚数は約130枚、注射指示の件数は約800件であり、これらを当日出勤の製剤室薬剤師5名が対応します。この製剤室では、薬剤師をサポートする特色あるシステムが導入され、薬剤師が臨床業務に注力できるよう取り組んでいます。医薬品SPD(Supply Processing and Distribution = SPD)は2009年に導入されたシステムで、院内全ての在庫管理業務が専門のスタッフへ業務委託されています。また、計数調剤に対するバーコード認証システムや、一包化錠剤監査支援システム(MDM)が導入され、薬剤師であれば誰でも経験する調剤ミスへの対策も強化されています。
一方で、病棟業務を担う病棟薬剤師は7名。1病棟につき1名の薬剤師が、そのほとんどを病棟で過ごすフルタイム常駐を敷いています。また、病棟の専任担当は2カ月ごとのローテーション制をとり、複数の診療科を経験する体制としています。これはジェネラリストとしてのスキルを磨くことが目的です。
専門性についても拡充を図っています。がん薬物療法認定薬剤師、外来がん治療認定薬剤師、感染制御認定薬剤師、NST専門療法士などの資格取得者が配置され、各認定薬剤師は薬剤師をはじめ様々な医療スタッフをサポートしています。
前年の年鑑で紹介し2018年から取り組みを強化していた業務があります。抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動です。ASTは薬剤耐性菌(AMR:Antimicrobial Resistance)対策のひとつとして注目され、「抗菌薬適正使用支援加算」という形で診療報酬にも評価されています。当院では昨年の2018年に専任薬剤師を配置し、血液培養陽性患者に対する支援など、薬剤師が中心となって活動してきました。そして本年(2019年)、更なる業務の充実を図り、専任から専従薬剤師となるよう業務時間を拡大、同年7月から「抗菌薬適正使用支援加算」の算定に至りました。当院のAST薬剤師は、処方医とのディスカッション、患者病室へのラウンド、担当看護師や病棟薬剤師との意見交換、ICD(Infection Control Doctor)との相談など、様々なアプローチを駆使して抗菌薬療法の最適化に努めています。
一方で、2019年は外来診療における保険薬局との連携にも取り組みました。いわゆる薬薬連携です。「服薬情報等提供料20点」をご存知でしょうか。これは、保険薬局の薬剤師が病院の処方医に対して、患者の服薬状況などの情報を提供した場合に算定できる診療報酬です。情報提供に際して使用される情報提供用紙はトレーシングレポートと呼ばれ、近年、その活用による効果が各種学会で報告されています。当院おいては、院外処方箋に表記される検査値を活用したトレーシングレポートをはじめ、副作用報告や減薬調整依頼など、トレーシングレポートを病院薬剤師が窓口となって受け取る運用を開始しました。情報提供を受けた病院薬剤師は、電子カルテを確認し、必要に応じて保険薬局薬剤師と情報交換、より精度の高い情報を主治医へ提供します。保険薬局薬剤師は、外来薬物療法におけるキーパーソンであることは間違いありません。薬剤師同士が連携し、より質の高い医療を提供できるよう今後も連携を強化していくつもりです。
年々、病院薬剤師が求められる場面が増え、また、必要とされるスキルレベルも高くなってきています。当院においてもその流れは例外ではなく、病床稼働率の増加や救急受け入れ体制の整備、地域包括ケア病棟の拡充など、薬剤師が活躍できる場は拡大する一方です。必要とされる場所に必要な人員を配置するため、2020年は人材の確保とともに、薬剤師のスキルアップを図っていきたいと思っています。
薬剤課課長 堀越慶一
臨床薬剤室(7病棟7名体制) | 製剤室(薬剤師11名・補助2名) | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
8:00 | ||||||||||||||
9:00 | 4南病棟 | 3南病棟 | 3新南病棟 | 2南病棟 | 2新南病棟 | 2西病棟 | 2東病棟 | ケモMix | 注射 | 向精神薬管理 | 内服 | 内服 | 調剤補助 | DI |
10:00 | ||||||||||||||
11:00 | 注射 | |||||||||||||
12:00 | 休憩 | 休憩 | ||||||||||||
13:00 | 休憩 | 休憩 | 休憩 | 休憩 | 休憩 | 休憩 | 休憩 | 休憩 | 休憩 | 休憩 | 内服 | 薬局事務 | 休憩 | |
14:00 | 4南病棟 | 3南病棟 | 3新南病棟 | 2南病棟 | 2新南病棟 | 2西病棟 | 2東病棟 | 麻薬管理 | 注射 | 休憩 | 内服 | DI | ||
15:00 | 注射 | |||||||||||||
16:00 | TPN Mix | 調剤補助 | ||||||||||||
17:00 | ||||||||||||||
18:00 |
認定資格 | 取得年 |
---|---|
がん薬物療法認定薬剤師(日本病院薬剤師会) | 2017 |
外来がん治療認定薬剤師(日本臨床腫瘍薬学会) | 2016 |
外来がん治療認定薬剤師(日本臨床腫瘍薬学会) | 2017 |
感染制御認定薬剤師(日本病院薬剤師会) | 2015 |
NST専門療法士(日本静脈経腸栄養学会) | 2012 |
認定実務実習指導薬剤師(日本薬剤師研修センター) | 2014 |
NST専門療法士(日本静脈経腸栄養学会) | 2012 |
リウマチ財団登録薬剤師(日本リウマチ財団) | 2014 |
認定実務実習指導薬剤師(日本薬剤師研修センター) | 2012 |
単位 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
処方せん(入院処方) 枚数 | 枚/月 | 3,494 | 3,329 | 3,680 | 3,543 | 3,695 | 3,684 | 3,568 | 3,930 | 3,726 | 4,003 | 3,961 | 4,010 | 44,623 |
処方せん(外来院内処方) 枚数 | 枚/月 | 289 | 206 | 175 | 195 | 217 | 201 | 238 | 286 | 197 | 207 | 176 | 248 | 2,635 |
注射せん 枚数 | 枚/月 | 7,828 | 6,648 | 6,763 | 6,728 | 6,964 | 6,374 | 7,368 | 7,521 | 6,821 | 7,417 | 8,155 | 7,991 | 86,578 |
注射せん Rp)数 | 件/月 | 28,910 | 24,872 | 25,561 | 24,338 | 23,031 | 21,239 | 25,116 | 25,614 | 22,794 | 23,701 | 23,684 | 24,597 | 293,457 |
注射せん(化学療法) 枚数 | 枚/月 | 86 | 84 | 115 | 86 | 90 | 87 | 79 | 86 | 62 | 60 | 46 | 49 | 930 |
無菌製剤処理 件数 | 件/月 | 80 | 78 | 102 | 74 | 83 | 76 | 70 | 73 | 55 | 56 | 38 | 39 | 824 |
薬剤管理指導料 算定件数 | 件/月 | 1,591 | 1,391 | 1,398 | 1,363 | 1,515 | 1,377 | 1,515 | 1,467 | 1,370 | 1,536 | 1,476 | 1,475 | 17,474 |
疑義照会 件数 | 件/月 | 254 | 201 | 172 | 207 | 210 | 179 | 200 | 208 | 192 | 176 | 188 | 190 | 2,377 |
処方提案 件数 | 件/月 | 27 | 44 | 66 | 68 | 39 | 33 | 77 | 75 | 59 | 37 | 78 | 48 | 651 |
薬剤総合評価調整加算 算定件件数 | 件/月 | 5 | 10 | 5 | 1 | 7 | 5 | 4 | 8 | 1 | 3 | 9 | 3 | 61 |