DPC(Diagnosis Proceduer Combination)は「診断群分類」であり、DPC対象病院とは「診断群分類別包括評価」という入院医療費の定額支払制度を導入している病院をいいます。この制度は、2003年4月に全国の特定機能病院などにおいて開始され、2006年には、当院を含む全国360施設が導入しました。
診断群分類は、まず、18の疾患分野(神経系疾患・眼科系疾患・耳鼻咽喉科系疾患など)に大別し、それぞれを傷病により分類します。そして、さらに手術・処置などの診療行為や重症度などに基づいて診断群分類を決定します。
診断群分類包括評価というのは、従来、急性期医療において入院基本料をベースに、入院期間中に行った一つ一つの診療行為を積算した「出来高払い」方式とは異なり、診断群分類ごとに厚生労働省が定めた1日当たりの点数をもとに医療費を計算する新しい「定額払い」方式の事です。ただし、手術やリハビリテーション、高額な処置などは出来高のまま残りますので、医療費の総額は「包括」と「出来高」の合計となります。
DPC対象病院は、単に入院医療費の支払い方法が変更するだけではありません。これによって医療費の無駄が減少するとともに、医療の質の向上につながるとされています。
第一に、患者さんにとっては、無駄な医療費が削減されるというメリットがあります。これまでの「出来高払い」方式では、医療行為が多ければ多いほど医療費が増えるため、病気やけがの快復を長引かせた方が病院の収入が上がるという矛盾を抱えていました。
第二に、病院にとっては、それぞれの診断群分類ごとに患者さんのデータを集積し、個々の患者さんに対する診療行為の適切性を評価することが可能になりました。また、クリティカルパスの導入による医療の標準化と効率化にも直結します。DPCの導入は、最小限の医療資源の投入で最大限の治療効果を目指すための「モノサシ」を得たことになり、病院が提供する医療の質の向上に大きく貢献すると考えられています。